バカ、意識しすぎ ※非同棲and職場の同僚

好きだと伝えたら、面白い顔をした。
残業で二人きり。
しんと静まり返ったオフィスの中で、自分の声が反芻する。

困ったような、泣き出しそうな、苦虫を噛み潰したような顔。
冗談とその場で言えば、もっとくしゃくしゃの――でも安堵した顔になるだろう。
だからあえて否定しなかった。
黙って彼女の返答を待った。

「………」

 

長い沈黙が続き、互いに相手の出方を伺う。
かすがは耐えきれなくなったのか、帰ると抑えた声で言うと脇目もふらずにオフィスを飛び出した。

 

 

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