忍合戦

「御主にこの甲斐の虎が倒せるかな?」
「あなたこそ、このぐんしんにかてるとおおもいですか?」
宿命の川中島。

我が大将、武田信玄とかすがの主君、上杉謙信が橋を挟んで対峙していた。
こちらには旦那と俺様が。むこうにはかすがが。
それぞれの主のそばに控え、決戦の時を見守る。
大将は宿命の対決だけあって、かなり気持ちが高ぶっているようだ。
「はっはっは。それでこそ我が宿命の相手よ!だが、武田にはあと2人優れた将がいることを忘れたか?若き虎、真田幸村と忍びの中の忍び、猿飛佐助よぉ!」
「おやかたさむぁああああああ!!」
旦那もすっかり興奮して、雄叫びをあげる。
「ちょ、ちょっと!敵の前なんだから、少しは自重してくださいよ!恥ずかしい」
俺様は旦那をなだめる。
気持ちが高ぶっているのはあちらさんも同じなようで。
「…それはききずてなりませんね。
 しのびのなかのしのびは、わたくしのつるぎのほかにはありません!」
かすがに目をやると、すっかりのぼせちまってる。
「な、何を言うか!佐助は影の技において右に出るものなしよ!」
大将の声が荒ぶる。
「つるぎとて、ひかりのわざにおいてはみぎにでるものはありませんよ!」
軍神も負けていない。
「ムう、譲れぬな!佐助は戦忍びの他にも、雑用、家事、育児などありとあらゆることをこなすのだぞ!…しかも給料なしで!」
「あなや、それはみごとな…、しかしつるぎはそんざいそのものがうつくしい!」

おいおい!ちょっとちょっと!
これ一体何の対決?

橋の両側で、顔を真っ赤にした忍びが2人、主をいつまでも見つめていましたとさ。

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