さつきびょう

はぁ。 胸の中が、なんだかモヤモヤして 落ち着かない気分になる。 なんだろコレ、五月病かな。 ただ漠然と不安で、 どうしようもない。 何が不安なのかさえよくわからない。
「…はぁ。 」
「佐助!」
ため息とほぼ同時に、後ろから我が主。 一体どこから?
「旦那!何?」
「佐助!お主ため息ばかりついておるな! これで12回目だぞ!」
えっ、俺様そんなにため息ついてた? ってか数えてたの?
「何か悩み事か?佐助!悩み事は人に話せば楽になるとお館様が言っておったぞ!」
あきらかに目の色が違う。 どーせまた大将にあることないこと吹き込まれたんだろう。 だいたい、主に悩み事相談する忍びって… なくない?
「いや、ただちょっとダルいっつーか、疲れただけですよ」
「佐助…!お前、働き過ぎなのではないのか!?」
旦那は真剣に言う。 誰が働かせてるか分かってんのかね、この人。
大丈夫です、というふうに手をヒラヒラさせて どっか人目のつかない所へ行こうと思った その矢先。
「…まぁ、よい。して、それは恋の悩みというやつか?」
「―――ッ」
危うく転びそうになる。
「な、何を言ってるんですか!?」
「お館様が、佐助は恋煩いだから治してやれ、と」
真田の旦那は満面の笑みで答える。 意味分かって言ってんのかな、この人。
それにしても大将も言ってくれる。 そんなにたるんでたかな、俺様。
「いやさ、違うんですよ、これは五月病って言って、」
「さつきびょう?お主が煩っているのは、 かすが病であろう?誰だ『さつき』とは!破廉恥な!」
この不埒ものめって言って殴られた。
あーもう。
俺様の病気の種をまいてんのは この人たちだな、と改めて思った。
(んだよ、かすが病って。)

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