日直ネタ(学園bsr)

会話をしている途中で、お互いが黙り込む瞬間というものが必ずある。
天使が通ったなどとロマンチックに片付けるような奴もいるようだが、私はこの瞬間がひどく居心地が悪く、嫌いだ。
お互い何かをさぐり合うような、そんな独特の空気にたえきれず、口を開くのはだいたい私からだった。
「おい、何かはなせ」
「へ?」
沈黙を苦痛に思わないのか、目の前に座っている男はなんとも間抜けな顔で言う。
私は早くしろと促して学級日誌に目を落とすと、『今日の日直』という欄に私の名前とこいつの名前を書き記した。
「えー、じゃあかすがの好きなタイプは?」
「なぜそうなる」
「何かはなせって言うから」
全く会話のセンスのないやつだ。
私はシャーペンを走らせながら、謙信様だと吐いて捨てた。
「好きな男、じゃなくて好きなタイプ、ね」
「そんなもの聞いてどうする」
「まぁ、今後の参考のために?」
佐助は苦笑して肩を竦めると、私の机の上に肩ひじをつく。
「タイプと言われても何から話せばいいのかわからん」
「じゃあどんな性格の男が好き?」
私は脳裏に謙信様を思い浮かべると、その特徴をあげてゆく。
「頭の回転が早くて、冷静沈着。どんな時にもうろたえない」
「ふむ、ふむ」
「人の考えている事はだいたいお見通しで、気遣いができる」
「あー、はいはい」
「だけど心の奥に熱い一面があって、大きな野望を抱いている」
「………」
「友達が多くて人望に恵まれていて、私に優しい」
「かすが、それってさぁ…」
「あ、ああ」
佐助は呆れたような、でもどこか照れているようなそぶりでこちらを見る。
さすがに謙信様丸出しだったのだろうか、佐助にそう言われて、無性に恥ずかしくなってきた。
日誌に頭を埋めて顔が赤くなるのを隠そうとすると頭の上から声がふってきた。




「それって俺様のことだったりする?」
「…耳鼻科へ行ったほうがいいぞ」

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