あっと声が漏れる前にすでに重心は落下していた。
下から突き抜けるような風に思わず顔をしかめて佐助の胸に押し当てる。

私の腰に回した佐助の手の力がやや強くなった。


落下から数秒たって、重力を感じなくなった時、男は言った。

「着いちゃったよ」

強く目をつぶっていた私は、薄く目を開ける。
男の胸に顔をあてているので何も見えなかった。

「誰もいないのか?」

「ああ。ここは静かだね」

「………」

顔上げれば、奴の顔が至近距離で見える。
目があった。

 

「ちょっと、そろそろ離れよーか…」

男は気まずそうに目をそらすと私の腰から手を放す。

「あのさ「さっさといけ」

「えっと、「後ろを振り返らずにいけ」

「かすがから先に「お前から行け」

「…破れたのって、もしかして尻―――」

間髪入れずに、思いっきり金的をくらわせてやった。


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