仁義なきBASARA~相棒~ ※戦国BASARA893パロディ。捏造設定が苦手な方はブラウザバック推奨

「あっ!こら!待つんじゃ!!!」
段々と遠くなっていく北条をちらりと見やって、すぐさま自分たちの車に乗り込むと、かすがが乗ったのを確認して、車を急発進させる。
恐らくあの老体だ。すぐに俺たちを追うのは不可能なはず――。
5つ星のホテル、駐車場ともおさらばだ。
そう安堵して駐車場を出かかった刹那、すぐ前の道路に風魔が歩いてくるのが見えた。
(まずい―――)
すぐさま風魔を見なかったフリをして、かすがの方へ体を向けて笑顔を作った。
ご丁寧に口をパクパクさせて会話をしているように見せるのも忘れなかった。
かすがも風魔に気付いていたのか、俺様に合わせて笑顔を作り、同じように口をパクパクと動かした。
風魔はサングラス越しに、こちらを一瞥したが、女が乗っていることに油断したのか、そのまま駐車場の奥へと消えた。
「危なかった…」
ハンドルを切りながら思わず口に出すと、かすがも緊張から開放されたように溜息を出す。
あそこで気付かれていたら俺らに勝算があったかどうかは難しいところだ。
アクセルを強く踏んで、一刻も早くこの場から逃れたかった。
「何とか任務成功だな」
任務をやり終えた満足感で一杯なのか、彼女は誇らしげに言った。
「ホントにね」
「あのスーツケースの中身が不正なものじゃなくてホッとしている」
「まぁね、でもまさかカラオケセットとはね、俺たちも商売上がったりだぜ」
「金や麻薬よりはましだろう」
「…でもさ、正直」
「なんだ」
「女なんか使えないと思ってた」
「は?」
何を言い出したのかと訝しげなかすがの視線を浴びながら苦笑する。
「でも今日で誤解は解けたね、だって俺たち、相性ばっちりじゃない?」
「…そうでもない」
「いやだってさ、俺の愛コンタクトだけで全部伝わっちゃうんだもん」
「…私が優秀なだけだと思うぞ」
窓の外へ目をやって、つれない彼女はめんどくさそうに言う。
「俺様の相手がアンタみたいので良かったよ」
「……」
もしかしてもしかすると、初めて男から認められたのだろうか。
俺様のこの一言で、彼女は外にやっていた目をこちらに向けると、かすかに瞳を潤ませて、恥ずかしそうにうつむいた。
「…“アンタ”じゃない。“かすが”だ」
照れたように訂正するかすがを見て、衝撃が走った。
頭から熱湯を浴びたように、体温が上がった気がする。
「…ついでに、お友達から始めてみない?」
「…チェンジ」
危うくハンドルを切り損ねそうになって、後ろの車から激しいクラクションが鳴った。

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