いっそこのまま眠ってられたらいいのに!

オレンジ色の光が俺を包む。
もうすぐ、このオレンジに融けていくんだと思った。
目が、霞む。
楽な仕事のはずだったのに。敵を全滅させたと思っていたのに。
撃ち損じた一人に後ろからグサリ、だ。
笑えねー。
土の上にうつぶせに倒れると、いろいろな考えが浮かんでくる。これが、走馬灯ってやつ?
この猿飛佐助ともあろうものが、こんなところで…。
目を閉じれば旦那の顔が浮かぶ。
すまねぇ、だんな。
…かすが。
「あーあ、さすがの猿飛佐助もここまで、ってか…。」
苦し紛れに、自嘲的に笑う。この血の量じゃたぶん助からないだろう。
「何を馬鹿なことを言っているんだ?」
突然後ろから気配がした。
見なくたってわかる。
この気配は。
この声は。
「かすが」
「お前、なんでこんなとこに?」
「…しゃべるな。たまたま通りかかっただけだ。早くしないと手遅れになるぞ」
かすがはそう言って、俺様の服を脱がす。傷口が露になるのが、自分でもわかった。
それを裂いて傷口に巻いていく。
「―――っ」
あまりの痛さに思わず声が漏れる。
「我慢しろ、いくぞ!」
そういうとかすがは俺様を背負う。
「ちょ、ちょっと!なんで助けるわけ?」
「さぁな。体が勝手にな」
「それどっかで聞いたことある」
「うるさい!黙っていろ」
死にかけてるってのに、ずいぶん幸せな気分だった。
本当にたまたま通りかかったのか、来てくれたのかはわからないけど、

目をつむってかすがの背中に、全てを委ねた。

Since 20080422 koibiyori