ハロウィンネタ

「今日はハロウィンらしいな」
「え?ああ、そういわれればそうだね」
「…それだけか?」
「え。だってもう11時回ってるし、もうすぐ11月なんだけど」
今更ハロウィンのお祝いでもしたいというのか。わざとらしく目を見開いてかすがを見つめれば、彼女はばつが悪そうに視線を反らす。
「…ハロウィンらしいことを一つもしていないな」
「毎年そんな気合入れてハロウィンやってたっけ?」
「………」
かすがが言わんとすることは手に取るようにわかった。
“何か甘いものを買って来い”だ。
トリックオアトリートで俺様にお菓子を買わせるつもりなのか。俺様的にはお菓子よりもいたずらの方が好ましいのだけれども。
「そういえば俺様なんか喉渇いたかも」
「そうか?」
嬉しそうな声色。
「うん。ちょっとひとっ走り行ってきてよ」
笑いを堪えるのがばれないようにさりげない笑顔をつくる。
かすがは先程とは打って変わって、私が行くのか?という顔を丸出しにして俺様を見据えた。
「なぜ私が行くんだ」
「いいじゃん、たまには。かすがも何か買いたいもんあるんだろ?」
かすがは俺様の質問には答えずに渋々言う。
「…たまには行ってやってもいい」
「さっすがー」
彼女は小さく舌打ちをしてすくっと立ち上がると、ソファに放ってあったマフラーを首に巻いてテーブルの上の財布を引っつかむ。
「で?お前は何が欲しいんだ」
「かすが」
「ち、違う、喉を潤すものだ!」
「かすが」
「…そうじゃない、必要なものだ」
「かすが」
「コンビニで、だ」
「かすが」
かすがは無言で俺様を睨みつけるとさっさと踵を返してリビングを出ていった。
ちょっとからかいすぎたかもしれない。一人で吹き出すと丁度時計の針は12時だった。

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