ホワイトデー小話2012

ホワイトデーのお返しにと、唐突に茶封筒を渡された。
「なんだこれは?現金か?」
「まっさかー、オレサマの給料知ってるっしょー」
さすがに現金はないかと少々舌打ちをしつつ、嫌な予感が身をよぎる。
「法的な…ものでもないよな?」
「俺様がそんな馬鹿のひとつ覚えみたいなことすると思う?」
何かにつけて婚姻届を渡してきたのは果たして私の記憶違いだったか。
勘繰る私を他所に、佐助は早く開けてと促した。
渋々封筒の中身を取り出せば連なった紙切れが三枚ほど。
ご丁寧にわざわざ印刷までしたのか、

何でもする券
デート券
青春18kin

とそれぞれ印字されていた。
「小学生か…」
「いやーサプライズ的なことがやりたくてさ」
「まず、デート券はいらん」
「ちょ、ちょっとちょっと!」
紙切れをゴミ箱に捨てようとしたのを必死で制止された。
「絶対使いたいときがくるはずだから!とっといて!」
「絶対にないな」
「いやいやわかんないでしょ、先のことは」
「…先のことは!」
「…まぁいい。だが何でもやる券はわかるが青春ってやつはなんだ?
電車にでも乗る券か?kinになっているが…?」
青春18切符は有名なやつだが、それに似たようなものだろうか。
佐助をみやればやけにニヤニヤと薄ら笑いを浮かべている。
全く、嫌な予感しかしない。
「俺様の上にのり放題の券でーす、ちなみにジュウハチキンと読みます」
「…やはり使う事はないな」
何でもする券以外ゴミ箱に投げ入れた。

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