バレンタインデー小話2012 ※ギリギリいいたいだけ

今日はドキドキバレンタイン。
仕事から帰って、いつも通りに夕食を食べて。一息ついたときにかすがに尋ねてみた。
「ねぇ、俺様にチョコレートは?」
かすがはテレビを見ていた体を俺様へ向け、どこからともなく紙袋をとりだすと、何の感慨もなく言った。
「ほら」
「へ?」
紙袋をまじまじと見つめる。
「なにこれ」
「チョコレートだ。」
「…誰の?」
「お前に決まっている」
明らかに頭がおかしいんじゃないかという表情を浮かべる彼女。
「だって俺様もらえると思ってなかったし。」
「毎年もらっているくせによくいう」
「だってかすが催促しないとくれないんだもん」
「もらえるだけ有難いと思え」
「…ちなみに義理?」
「ギリギリ…だな」
「…ギリギリ本命?」
「…うるさい」
ギリギリ義理なのかギリギリ本命なのかよくわからなかったが
素直に出てきたことを考えられば大きな進歩だろう。
「えー、マジで?ヤバい、かすがったら、えー?マジで本命?えー?」
「うるさい、ギリギリ義理だ!」
不機嫌になっていく彼女とは対照的に俺様の顔は緩んでしまう。
一体何回目のチョコレートで義理からギリギリに昇格したのか、今ではもうわからないが、とにかく嬉しくて、歯をギリギリした。

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