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「俺様、実はかすがなんて大嫌いなんだけど」
辛辣なセリフとは対照的に、佐助は気味の悪い微笑みを浮かべている。
私は何か言いたげな瞳を無視して、ぴしゃりと言った。
「だからなんだ。お前が私を好こうが嫌おうが私には関係ない」
「えー…そこは涙を浮かべながら私は好きだっていう場面でしょ?」
「…勝手に泣いていろ」
佐助は大げさに頭を抱えてみせると、俺様がせっかく昨日から考えたネタなのにと口を尖らせた。
「折角のエイプリルフールなんだからさ、もっと驚こうよ」
「そんな見え見えの嘘にひっかかる奴がいるか」
「少しはひやっとした?」
「するわけがないだろう」
ちぇーと嘆くように呟いて佐助は頭をかいた。
じゃあかすがも俺様をひやっとさせてみてよ、だなんて騒ぎ立てる。
本当にいちいち面倒くさい奴だ。
私は大きく溜め息をつくと、天井を見つめながら少し考えて、ぼそりと呟く。
「好きだ」
私がそう言った途端、
時が止まったように佐助は静止した。
目を見開いて、一体何が苦しいのかもがくように自分の胸の辺りをくしゃりと掴む。
そしてキョロキョロと辺りを見回すと、何とも言えない照れくさそうな顔で言う。
「…え、マジで…?」
「…お前は馬鹿か」

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